秋バラ尽くし3

「ピンク色」と一括りにはできないけれど・・・

横浜イングリッシュガーデンの秋バラを紹介しています。
ピンクも様々、6種のバラ。

 

ティファニー」Robert V. Lindquist 作出 アメリカ 1954年

Lindquist氏の曾祖父と祖父はフィンランドで育種家をしていました。
彼の父親もスウェーデンとイギリスで育種に携わっていましたが、カルフォルニアに本拠を置くバラ販売会社のチャールズ・W・ホワード氏のパートナーとしてカルフォルニアにやってきました。
幼い頃からそうした環境で育ったので、Robertさんもバラ育種の道へ進み、ホワード氏の息子たちと共に仕事をするようになりました。

ティファニー」の名前はニューヨーク発祥の高級宝飾店ティファニー&カンパニーにちなみます。

 

「芳純」鈴木省三作出 1981年

「ミスター・ローズ、日本のバラの父」と呼ばれた鈴木省三氏(1913-2000)のバラ。
元気よく咲いていて、とてもいい香り。
大振りの花で園内でも目立っていました。
鈴木氏が資生堂からの依頼で開発したバラで、オールドパルファムの香りになりました。

 

「オードリー・ウィルコックス」Gareth Fryer 作出 イギリス 1985年

風が強くて、花を写真の中心におさめるのが難しかった・・・

 

「ユー・アー・ビューティフル」Gareth Fryer 作出 イギリス 2012年

上の二つのバラはイギリス、マンチェスター近郊のバラ育種生産会社フライヤー・ローゼス(1912創業)のバラ。作出者のGareth Fryer氏は3代目。

「オードリー・ウィルコックス」の方は、John Wilcox という方も作出に関わっているらしいのですがよくわかりません。Johnさんに関係のある方のお名前をとったのでしょうか。ピンクに黄味が差す、美しいバラですね。

「You're beautiful」は、自分で撮った写真を見ても、こんな花だったかな?という印象ですが、状態の良い時の花の雰囲気とだいぶ違うと思います。
数々の受賞歴のあるバラ。また撮り直してあげないと。

 

シャトルーズ・ドゥ・パルム」Delbard フランス 1996年

名前はスタンダールの小説「パルムの僧院」に由来。

こちらも題名は知っているし、映画もありましたね・・・
いつか読もう、いつか見ようと後回しにしている案件が増えていく。

 

このバラはフランス・デルバール社(1935年創立) の「 Les Souvenirs d'Amour Parfumes(愛の香りの記憶?)」というシリーズの一つです。

このシリーズは、香りがよく、艶やかな色合い、クラシックタイプの花型で、四季咲きのバラを集めています。

Google翻訳ですが、デルバールのカタログ紹介では、「官能的でロマンティックな香り」「子供の頃の思い出」「再発見された幸せな瞬間」・・・などの言葉が。

フランスのバラ紹介のサイトではこのバラについて、「紫でもピンクでもない、色褪せたシルクの豊かな色合いが懐かしく妖艶なバラ」と表現されていました。
う〜ん、フランスっぽい。

 

「オーキッド・マスターピース」Eugen S. "Gene" Boerner 作出 アメリカ 1960年

これはもうだいぶ咲き進んだところですね。萎れてきても味わいがあります。

Eugen S. "Gene" Boerner氏は1893年ウィスコンシン州生まれ、ドイツ系。
Jackson & Perkins に勤め、特にフロリバンダローズの研究で有名で、「パパ・フロリバンダ」と呼ばれたそう。
1966年に亡くなりました。Jacson & Perkisでの45年のキャリアの中で60種を超えるフロリバンダの品種を開発したそうです。

 

ちなみに、「オーキッド・マスターピース」はハイブリッド・ティー(大輪、四季咲き)です。

ざっくりの理解で言うと、
バラは大まかに、原種、オールドローズ、モダンローズの3種に分けられます。
オールドローズの2つの系統を掛け合わせてできたのが、ハイブリッド・ティーで、モダンローズの先駆けとなりました。

ハイブリッド・ティーポリアンサ系統(日本と中国のバラがルーツ)のバラを交配して作られたのが、フロリバンダです。
フロリバンダとは「花束」を意味し、一つの茎に一つの花が付くのではなく、枝分かれして房咲きになり、多数の花(中輪)が付く四季咲き性の品種を言います。