ホヤに実に様々な種類があるというのは、小石川植物園の温室に通うようになって知りました。
ホヤという植物がある、というのを知ったのは、もうずいぶん前に退職した職場の先輩が、大庭みな子著『王女の涙』という小説に出てくる植物を育てていて、その花が咲いたと聞いた時でした。
その植物は、サクラランというツル植物で、小さな花が集まってマリのように丸い形で咲く。
夜に香り、蜜が雫となってポタポタたれる、というので、そんな変わった花があるのか・・・ 一体どんな姿なのだろう? と、「サクララン」という名前から勝手にイメージを描いていました。
図鑑で、見た時にサクラランは、別名ホヤ、ガガイモ科とあり、サクラランの響きとのギャップに、なんだか少しイメージが崩れたのですが、それでも十分に不思議なエキゾチックな花に思えました。
それから実際に花を見るまでに、結構時間がかかったように思います。
先日、植物園に行った時に咲いていたホヤの中で、最も華やかだったのが、このピンクの花。
葉がねじくれているのも個性的です。
名札が見当たらなかったのですが、たぶん Hoya carnosa compacta
Hoya kerrii
この葉っぱを一枚植木鉢に植えて「ラブラブハート」といって、売っていましたが、ホヤだったんですね・・・
この鉢のは、斑入りなので、花がない時も華やかでいいですね。
Hoya vitellinoides
不思議な姿のつぼみ
英語でWaxplantとかWaxvineと呼ばれるように、蝋細工のような花
アリが来ていました
Hoya incrassata しょうがの香りがします
Hoya cumminguiana
大きな花一輪のホヤ
追記8/27
これはまだ若い株で成熟するともっと巨大でえんじ色っぽい花が 、数輪固まって咲くようです。
Hoya gigas
Hoya ciliata
Hoya affinis
こうしてみると、葉などそれぞれ、雰囲気がずいぶん違いますね。ホヤは200種類以上あるそうです。
植物園の温室には、他にも写真がうまく撮れない枝垂れるタイプのホヤや、すごく小さな花を咲かせるものなど、色々あります。
ちなみにホヤというと食べ物の方のホヤ(海鞘)を思い浮かべる人も多いと思いますが、植物のホヤ Hoyaは、植物学者のロバート・ブラウン(Robert Brown 1773-1842)により、彼の友人である植物学者トーマス・ホイ(Thomas Hoy 1750-1822)に敬意を表して名付けられたそうです。
前述の小説のタイトル、『王女の涙』は作中に出てくる花の名前です。
著者が実際に育てていたホヤ、「王女の涙」。
その名前と香りから発想を得て紡がれた物語だそうです。
いつか読んでみよう、と思いながら数十年が経ってしまいました。
これを機会に読もうとAmazonで見たら、すでに絶版。ポイントで古本を買いました。
どんな物語なのか読むのが楽しみです。