植物の写真を撮っていると昆虫に出会うことも少なくないです。
昆虫はちょっと苦手だし、それほど興味もなかったのですが、最近は植物園通いで植物と昆虫の共生関係について知ったり、研究が進んだためか、テレビ番組でも取り上げられることが多くなって、面白いな〜と思うようになってきました。
植物にとって、送粉の助けとなる昆虫や動物は、ぜひにもきていただきたいお客様なので、あの手この手で呼び込もうとします。
今回は、小石川植物園温室の奇妙な花とその花を訪ねてきた昆虫をご紹介します。
お客様を誘うのに匂いは重要ですが、送粉者にも色々いるので、お好みに合わせた調合で誘います。
ヒトデのような花が咲いて悪臭を放つという、スタペリア ヒルスタ(別名 犀角)
於小石川植物園 温室1
前回つぼみだったので、花が見られるかな〜と期待して行ったのですが、遅かった。
でも新たなつぼみが大きくなってきていました。
鐘楼閣には、お客様が来ていました。
嗅いでみると、なんの匂いと明確に言えないのですけれど、顔をしかめたくなる臭さ。
動物の死体とか糞の匂いを模しているのです。
外国の花なのに、ちゃんとその筋?のお客が来るんですね・・・
花の中に入ったり出たり。ハエにしたら、おかしい? 臭いはするのに???
と困惑中でしょうか?
実はハエは被子植物の重要な送粉者なのだそうです。
主に熱帯の植物において、ジメチルジスフィドやスカトール、インドールが花の匂いとして進化し、腐肉や糞を利用するハエなどを誘う擬態花が見られるということです。
こちらは、蘭なのですが、馴染みがありません。
Coelogyne speciosa
花がしおれかけているような印象ですが、ネットで検索したら、雨で自身の花粉が流れて柱頭につき自家受粉してしまわないように、うなだれると書いてあるものを見つけました。
花が咲いてから時間がたっているように見えますが、うなだれるのは元々の性質のようです。
こちらにきたお客様は見慣れないハチでした。
ヒメハラナガツチバチのオス?
だとしたら寄生バチの類で、メスは土に穴をほってコガネムシなどの幼虫を探し出し、毒針を刺して麻痺させ、さらに穴を深く掘って運び、卵を産みつける。
孵化したツチバチの幼虫は宿主であるコガネムシの幼虫を食べて育つという・・・
怖い・・・
先日、冷温室前のベンチに座っていたら、前方の草が茂っていない地面に黒いハチ風の昆虫が飛んできて、地面の穴の中に入って行きました。穴のそばに掘り出された土がこんもりしていた。何者?と不思議に思ったのですが、あれもツチバチの仲間だったのでしょう。
秋の気配が・・・と和んでいたその時、実は目の前で阿鼻叫喚のドラマが繰り広げられていたのかも。
この蘭に来ていたツチバチはなぜか、花の方へは行かず、写真の茶色いサヤみたいな部分を盛んに突いて(舐めてる?)いました。
この茶色いサヤは種ができるのでしょうか?
こちらの植物は、薄水色の小さな花が咲いていて目にとまりました。
オレンジのは実らしい。こちらへきたお客様はアリです。
しっかり花の中へ入っていきました
奇妙な植物だな〜とさらによく見たら、ギョッとする根元
全体はこんな。 台につるさげる形で展示してあります。
Myrmephytum selebicum アリノスダマ
いわゆるアリ植物でした。
自生地では、木の上部に着生する植物で、根元の塊(擬鱗茎)は、中が多数の空洞になっていて、その中にアリが住み付きます。
この植物は、アリの糞やアリが捨てた食べ物のカスなどを栄養分とし、またアリがいることで害虫が寄り付かないというメリットもあるらしく、アリと共生関係にあるのです。
この植物園のアリノスダマにアリが住んでいるのかは、わからないです。
日本のアリが住むかな?
アリが来ていたのは、花の匂いに惹きつけられたからでしょうか?
植物と昆虫の関係、色々と謎が多いです。
おまけ ボルツアーノで見かけたアリさんたち