小石川植物園28

温室の植物3
オオシマコバンノキのWin-Win?関係

小石川植物園に新しくできた温室の中心部、温室3です。
ここだけ、植物が地植えになっています。

正面入り口を入ったところが温室3になります。

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左端はヒスイカズラ翡翠葛)ですが、移植されてから、まだ花は咲いたことがないそうです。人工的な感じがする爪型の青緑色の花がフジのように房になって咲きます。

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その隣が、オオシマコバンノキ

コミカンソウ科の植物です。この頃よく道端で、ナガエコミカンソウを見かけるようになりました。(温暖化のせい?)
ナガエコミカンソウは、大きくなっても、せいぜい草丈は80cmくらいですが、こちらは2メートルほど。

 

オオシマコバンノキ

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ナガエコミカンソウは、播磨坂上の横断歩道付近や石神井川の土手にも生えていましたが、温室内でも他の鉢にちゃっかり生えていました。
手前の鉢の名札の前にいます。


サイズはだいぶ違うけれど雰囲気が似ています。

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温室の解説板(要約)によると

植物が鬱蒼と生い茂る熱帯の森では、大きく色鮮やかな花で目を引く植物がある一方で、地味で目立たない花をつけ、昆虫と特別な関係を結ぶことで受粉を果たしている植物があります。
そうした植物の花粉を運ぶ昆虫を導入し、共生関係を温室内で再現する展示を試みています。

 

オオシマコバンノキの花は、幼虫がこの植物の種子を食べて育つハナホソガというガによってのみ花粉が運ばれていることが近年の研究でわかりました。

このガは、花に卵を産みつける際、幼虫が確実に種子を食べられるように、口吻を使って自ら花粉を集め、雌花の柱頭に授粉するという特別な行動をします。

 

1匹の幼虫は、果実の中の一部の種子のみを食べて育つので、食べ残された種子で植物も繁栄できる。このようにお互いの存在なしには繁殖できないほど依存しあった関係を絶対送粉共生と呼びます。

 

世界中でコミカンソウ科のおよそ500種が、それぞれ異なる特定のハナホソガと共生関係を結んでいます。

 

現在、温室内でハナホソガを飼育中なので、今後、展示しているオオシマコバンノキが実を結ぶことを願っています。

 

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願い、かなってます!

 

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ハナホソガ 小さい! オスメスの違いがわからない。

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しかし、すごいですね、「絶対送粉共生」 

植物と昆虫におけるWin-Win関係と言えるでしょうか。

 

この地植え部分には、他にワダンノキ、オオハマギキョウ、ビワバアオキ、グネモンノキなど珍しい草木が植えられています。

 

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 おしまい