小石川植物園25

冷温室の植物

植物園の開園時間は9:00~4:30(入園4:00まで)ですが、温室は、10:00~15:00

いつも園内のあっちに引っかかり、こっちに引っかかりしているうちに、気づくと15:00頃ということが多くて温室に行かずじまいになってしまうことが多いです。

 

やはり自然に生えている植物に目が行ってしまうので、温室や標本園は後回しになってしまうのですが、行ってみると毎回、新しい学びがあって面白い。

 

こちらの温室は、2019年11月 から公開

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旧温室は、2014年に老朽化のため、立ち入り禁止になりました。
1、2度入ったことがありますが、すでに高さのあるメインの温室には危険で立ち入りできず、低い方の狭い温室だけ見ました。公開は週に一度、平日だったので、なかなか機会もなく。

今思えば外観も風情のある温室だったと思うのに、写真も撮っていません。
温室内も鉢を置くテーブル様の台の下に土の部分があって、そこに植えたもの以外のこぼれ種などから育ったらしい植物がいい感じに花を咲かせたりしていて、なかなか味わいがありました。

 

今の温室は近代的です。6室あり、土に直植えの部分は一箇所だけ。あとは鉢での管理。
そのほかに高山植物や高原の植物などが見られる冷温室があります。

暑いので、まずは冷温室で涼んでから温室をまわることに。

 

冷温室の外観

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中はそれほど広くないのですが、直植え部分と台に鉢を置いた場所に分かれています。

 

こちらは、右手のロックガーデン風の直植え部分。
一番手前の繁茂している緑はタイムの近縁のイブキジャコウソウ

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台置き

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そして、入ってすぐの場所には、トピックスコーナー。

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奥の黄色い花はメタカラコウ。奥右端がオタカラコウの葉っぱ。尾瀬を思い出すな・・・

 

手前の展示は、「虫を惑わす葉の形 ハクサンカメバヒキオコシ」

植物の葉の形は様々ですが、それには生育地の気温や雨量など気候要因以外にも理由があるのだそうです。
シソ科のハクサンカメバヒキオコシを含むヤマハッカ属の植物には、葉を巻き上げて、幼虫の「揺りかご」を作る甲虫のオトシブミの仲間がつきますが、ハクサンカメバヒキオコシの葉は、その複雑な葉の形のためにムツモンオトシブミに避けられることがわかったそうです。

 

オトシブミのメスは、一枚の葉を1〜2時間かけて巻き上げて「揺りかご」を作ります。その葉巻が小さかったり、隙間があると、幼虫の食べる葉の量が不足したり、幼虫が乾いたり、寄生蜂などの天敵に襲われやすくなるので、オトシブミは、葉を巻き上げる前に、葉の表面を歩き回って、品定めの踏査をするのだそうです。

しかしハクサンカメバヒキオコシの葉では、葉の先が主脈付近まで深く切れ込んでいるので、踏査がうまくいかないため、その段階でムツモンオトシブミは利用をあきらめます。

本来切れ込みのない、クロバナヒキオコシに切れ目を入れて実験したところ、ムツモンオトシブミに利用されにくくなったそうです。
また人工的にハクサンカメバヒキオコシの葉を巻いた葉巻でも幼虫は育つので、葉の成分などの化学的な違いとは関係なく、形そのものをムツモンオトシブミが嫌って利用しないことがわかったという展示です。

京都大学理学研究科の大学院生と植物園の共同研究による)

 

虫に食べられないように、こんな不思議な形に進化したのですね。


ハクサンカメバヒキオコシf:id:kusagasuki:20210722220157j:plain

切り込みのないクロバナヒキオコシf:id:kusagasuki:20210722220217j:plain

植物の葉っぱがなぜ色々な形なのか、なんてあまり深く考えたことがありませんでした。

なるほどね〜

しかし別種のオトシブミにはイタヤカエデを何枚も使って葉巻を作るものもいます。天敵となる寄生蜂の種類による影響もあるらしい。虫は虫で進化しますものね・・・複雑。

 

台の上の植物をいくつかご紹介

オゼミズギク

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コバノカモメヅル

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なんだかかわいい展示方法 着生蘭たち

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冷温室は頻繁に冷風が自動的に出たり止まったりするので、茎の長い植物などはフルフル震えていてなかなかうまく撮れません。
それに送風機のスイッチが入るとブォオオオーと鳴るので、毎回びっくりしてしまう。

 

クルマユリ(車百合) 輪生する葉っぱを車輪のスポークに例えた名付け

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アカモノ 実が赤いのは、赤い萼が花が咲き終わると伸びて、果実を包んでいるそう

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こちらは、また別のトピックスコーナー

キノコバエ媒植物にみられる送粉シンドローム

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科が違う遠縁の植物なのに、なぜか似たような花を咲かせる植物たちです。

どうして似た花を咲かせるのかというと、送粉(受粉と授粉を合わせた呼称)を行うのが同じ虫の仲間だからなのです。

系統的には離れていても、送粉者が同じ種類だと花の色や形、匂いなど、花形質に共通の特徴が見られることを「送粉シンドローム」と言います。

近年、ここにある5科6属の植物の送粉者が、キノコバエなどの微小なハエ類だと明らかになり、新たな送粉シンドロームであると考えられるそうです。

「あなた好み」の姿に花を進化させてきたのですね・・・

 

植物が昆虫に嫌われるように進化したり、好かれるように進化したり、面白い。

 

次回は、温室へ。

 

おまけ 
温室前の池 なぜそこにいる?

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