花の行方

クチナシの花で映画『旅情』を思い出しましたが、映画に出てくる花でずっと気になっていることがあります。

 『ローマの休日
何度も見ていますが、小学生の頃にみた時から、気になっていました。

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映画の内容は、ヨーロッパ周遊中の某国の王女アン(オードリー・ヘプバーン)が、超過密な表敬訪問のスケジュールをこなすのに嫌気がさして、滞在先のローマの宿泊所から抜け出し、偶然、街で知り合ったアメリカ人新聞記者ジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)と恋に落ちる。たった1日のラブストーリーです。

映画では、王女が一般人とは違う感覚を持っていることを表すシーンが出てきます。
王女が一人で町歩きをしている時に、花屋が花を売りつけようとして、カーネーションの花束を王女に持たせると、王女は、花束を左腕に抱え直し、右手を差し出します。
花束贈呈に慣れている王女の自然な振る舞いなのですが、それまでアイスクリームを舐めていたのに、急に王女らしい態度になるところが、面白い場面です。

 

花屋も、つい差し出された手をにぎりますが、我に返って、ただであげるのではない、1000リラと声をかける。
王女がお金がないと言うと、800リラでどう? 700リラでは?と値段を下げて買ってもらおうとする。
でも、王女はその前に靴を買ったり、ヘアカットをしたりして持ち金がもう小銭しかない。

王女が小銭を見せて、本当にお金がないので、買えないということを示すと、花屋は、花束から一本カーネーションを抜き取って、王女にプレゼントします。

王女は小銭を渡そうとしますが、「どうぞ。幸運を!」と花屋が言うので、プレゼントしてくれたと知り、「ありがとう」と、あの誰もがうっとりしてしまう笑顔で、受け取ります。

その後、スペイン階段に座ってアイスクリームを舐めるシーンに変わると、花を階段の脇に置いて、さらに、なんと食べていたアイスクリームもポイしてしまいます。

ジョーが偶然通りかかったふりをしてやってきた後、二人でカフェに移動した時にはもう花は持っていません。
もらった花をどうしたのでしょう? せっかくプレゼントしてもらったのに、階段に置き去り?
いつも花がどうなったのか気になって仕方がありません。

 ずっと持ったままだったら萎れてしまうし、その後の進行の都合上、しょうがないことはわかっているのですが・・・
何度見ても楽しめる不朽の名作ですが、この点だけはどうも納得できません。

 

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このカーネションは、花屋が「ボルディゲーラから届いたばかり」と言っています。
ボルディゲーラはイタリアのリグーリア州インペリア県にある町。サンレモとか、フランスのコートダジュールに近い場所。

この辺りは、花卉栽培が盛ん。ボルディゲーラは、ヨーロッパでナツメヤシを最初に栽培したところでもあり、イースターのお祝いには、バチカンにヤシの葉を提供しているそうです。

リヴィエラの保養地。ヤシの木の多い街並みはなかなか魅力的。
小説家のディケンズや画家のモネもこの地を訪ねたそう。

 

この近くのヴェンティミリアにはボタニチ・アンブルイ庭園があって、いつか行ってみたい場所の一つです。

茶などの貿易で資産家となったイギリス人トーマス・ハンブリー(1832-1907)はモルトーラ岬と呼ばれるこの地を気に入って、土地を購入し、世界中を旅して集めた異国の植物を植えました。兄の植物学者・薬学者ダニエルの協力を得て、植物園を整備。現在イタリア最大の熱帯植物コレクションを有し、竹林もあるそう。

イギリスのヴィクトリア女王も訪ねられたそうです。

 

Giardini Botanici Hanbury(現在はジェノヴァ大学が管理)

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