花咲爺さん

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駅までの道に何軒か園芸好きな方が住んでいるお宅があって、通勤時の楽しみになっています。特に5月〜6月は、淡い色の花を中心に色々な植物を配色よく植えてあるお宅と、バラの花づくしのお宅の庭が見事です。

この二軒はガーデニング雑誌に出てもいいくらいのクオリティがあって、塀越しに眺めるだけでもうっとりしてしまいます。

また一方で、配色などはお構いなしに所狭しと大小様々な鉢やプランターを並べて、季節の植物や野菜をあれこれ育てているのを見るのも和むものがあります。

 

通勤路沿いのアパートに、大家さんなのか一階部分の庭とアパート前のちょっとしたスペースに鉢やプランターをたくさん並べて、菜の花やダリア、ゆり、菊など昔ながらの園芸植物を次々と咲かせている、「日本昔ばなし」に出てくるような小柄なお爺さんがいました。

花だけでなく、葉物野菜やナス、ピーマンなども上手に育てていて、朝、自転車で通りかかると、お爺さんがあれこれと作業しているのをよく見かけました。

一昨年、大型台風があちこちで被害を出し、東京も通り道になるかも、と言われていた時分に、そのお宅の前を通りかかった折、息子さんと思われる方と一緒に、アパート前のスペースにたくさん並べたあったプランターを処分しているのを見かけました。確かに台風で鉢が転がったりしたら危ないのだけれど、何だかお爺さんが寂しそうな様子でした。

それからしばらくして、まだたくさん庭に鉢がありましたが、お爺さんの姿を見かけることがなくなり、お具合が悪いのかなと思っていたのですが、昨日、そのアパートの前を通りかかったら、湿った空気の中に、土と草の匂いがしてきて、見ると、業者の車の荷台に鉢から抜かれた植物が山積みになっていました。

アパート脇に植えられた、紫陽花もだいぶバッサリ切られていました。いつもお爺さんの背丈よりも高くなって、直径が30cm近くにもなる鞠のような花がいくつも咲きました。花がうなだれないようにお爺さんが支柱をたて、紐で結えてあげたりしていた紫陽花です。
この時期にはたくさん蕾をつけたユリの鉢も並べられていて、開花するのが楽しみでしたが、もう世話をできる人がいないのでしょう。

 

また別のお宅では、駐車スペースにバラの鉢をたくさん並べて、こちらもお爺さんが毎朝のようにお手入れしていました。
どちらかと言うと、サザエさんの波平さんタイプの方だったのですが、ある日、奥さんが、お爺さんのことを「グランパ」と呼んでいたので、ちょっとびっくり・・・

こちらのお爺さんもいつの頃からか、お見かけしなくなりました。
鉢はそのままに、ご家族の方がお手入れされているようで、今年もきれいなバラが咲きました。

二人のお爺さんとは話したこともなかったのですが、愛おしそうに植物を世話する姿が見られなくなって、ちょっと寂しいです。

 

今年はバラ園に行けなかったので、ご近所のバラを楽しませてもらいました。爽やかな5月をもう少し楽しみたいのに、連日の雨。
バラもそろそろ終わりです。