小石川植物園18

植物園内の「ちいさいおうち」

今年の春はずいぶん小石川植物園に通いました。春は、三日もすると植物の様子が全然違ってくるので、植物園内に住みたいくらいなのですが、実は、こんな家に住みたいという憧れの「ちいさいおうち」が園内にあります。

 f:id:kusagasuki:20210425213918j:plain

煙突もかわいい

f:id:kusagasuki:20210425214112j:plain

柴田記念館

これは普通の家ではなく、大正7年に当時植物園内にあった東京大学植物学教室の柴田桂太教授が、植物生理学の研究業績に対して授与された学士院恩寵賞の賞金を寄付し、それをもとに翌大正8年に建設されたもの。東京大空襲の際にも焼け残った、園内で最も古い建物で、もともと生理化学の研究室として使われていたのを、2005年に改修して展示や講演に使用しています。

今やっている展示は、植物園で撮影された野鳥の写真展です。植物画のポストカードなども販売しています。

f:id:kusagasuki:20210425214528j:plainf:id:kusagasuki:20210425214729j:plain

こんなかわいらしい平屋に住むのが憧れです。
ちなみにこの家の前は、シダ園になっています

f:id:kusagasuki:20210425214642j:plain

家の隣に柴田博士を記念する碑が建っています。

f:id:kusagasuki:20210425220108j:plain

f:id:kusagasuki:20210426095002j:plain

植栽のオカメザサは小型の竹で、酉の市でこの茎におかめ(おたふく)のお面などを下げて売っていたので、この名がついたそうです。学名(Shibataea Kumasaca) は、柴田博士の名に由来しています。

この碑の左側にこんなメダルがつけてありました。

f:id:kusagasuki:20210425222348j:plain

Concordia Parvae Res Crescunt

ラテン語で「小さなものも調和によって大きくなる」という意味で、サルスティウスの「ユグルタ戦記」に出てくる言葉です。強い団結への呼びかけが必要な時に引用される言葉ということです。

なぜこのメダルが付されているのだろうと、調べてみたところ、博士の御子息が柴田記念館改修に際して記した随筆が小石川植物園後援会のニュースレーターに載っていました。

そこに博士が主幹として刊行していた「Acta Phytochimica」(1922~1949)という欧文植物化学雑誌のことが書かれていたのですが、その表紙に使われたマークのようです。

この雑誌を拠点として海外にむけて研究の成果を発表し、日本の植物生理化学を築き上げた博士たちの信条のような言葉なのかもしれません。その仕事の多くがこの小さな研究室で生まれたのです。

博士が取り組んだ研究は、その後門下の方たちに引き継がれ、成果を出したものもあるそうです。まさにこの言葉のようにチームワークによって研究活動が行われていたのでしょうね。

柴田記念館には博士の遺品などの展示もあるのですが、じっくり見たことがないので、植物園が再開したらよく見てこようと思います。