キュー・ガーデンズを初めて訪れたのは、以前、書いた1990年に、スカイ島に行ったのと同じ旅で、スコットランドを回って再びロンドンに戻ってきた際、同行の先輩とは別行動で、一人で行った。
当時はインターネットもないし、植物園の情報なんてほとんどなくて、どのくらい広いのかもよくわからず、出かけて行った。
ロンドン中心地から地下鉄で30分程度。とはいえ、不慣れで、結構時間がかかったと思う。先輩と夕方に中心地で待ち合わせ、夕食に行く予定だったから、キューに着いて、1時間も滞在できなかった。とにかく、入り口付近の見られるところだけみて、売店にも行かなければ!と焦ったのを覚えている。
写真の少なさは前にも触れたが、この時の写真はなんとたったの4枚。
その旅から24年後の2014年9月、再びイギリスを個人旅行で訪れた際には、二日連続でキューに行った。この時撮った写真は300枚超。でもまだ全然回りきれてない。本当に広い。
キューにはいくつか温室があり、こちらはパームハウス。レトロな温室は、風情がある。
ウォーター・リリーハウスの外観の写真はないけれど、中はこんな感じ。
暖かくて、かなり湿気っている。それほど大きくなく、見えている池のぐるっと一回り分の広さ。
稲もあった。水生植物だものね。
主役の睡蓮も少し
Kew's Stowaway Blues
Tropic Sunset
Nymphaea Minuta マダガスカル産
小ぶりな睡蓮 これをもとに園芸用の小型スイレンが開発されているらしい。
こちらは何やら特別扱いだな、と写真を撮った。後で調べたら意外な事実が。
Nymphaea thermarum
世界最小のスイレン。通称、ピグミー・ルワンダ・ウォーター・リリー。
葉は小さいものだと1cm程度。ルワンダ南西部マシューザの淡水温泉で1987年にドイツの植物学者により発見された。2008年頃、温泉開発で生息地が乾き、自生が確認できなくなった。ドイツのボン植物園チームが持ち帰った株をキューが引き継ぎ、2009年に繁殖に成功。泥を入れたポットを摂氏25度に保った水の中に置くことで生育環境を再現した。
ところが、私が訪れた2014年の1月に何者かによって1株が盗まれていたそう。盗んでも、こんなに栽培が難しそうな植物、枯らしてしまったのではないか?
近所に、車道に面した家の前に小さな花壇のある家があって、いつも季節の花を植えてあり、通勤時の楽しみだったのだが、ある日、こんな内容の張り紙がしてあった。
花を持って行った人へ
ここに植えてあった花は、子供たちと一緒に植えて、
大切に育てていたものです。
せめてきれいに花を咲かせてください。
本当にせめて、ちゃんと育ててほしいけれど、人の庭から盗んだ花を心から楽しむことができるのかな?
昔、実家の門柱の上にブライダルベールの大きな鉢を置いていた。白い小花をつけるブライダルベールが枝垂れて、まさに名前のようにきれいだったのだけれど、ある朝、その鉢が門柱の上から消えていた。
ブライダルベールがひっくり返って上下逆さになり、花が押しつぶされる形で、玄関前に落ちていた。鉢は持っていかれた。
いったい、何を植えるんだか知らないけれど、植物を育てたことがあるなら、丹精込めて育てる人の気持ちがわかりそうなものなのに・・・
世界各地の植物園でも、盗難は問題になっている。希少種だけでなく普通に購入できるような植物でも盗まれるそうだ。残念なことだ。