2月の終わり、小石川植物園に行った。
春も本番になると、待ちきれぬ思いで、朝から出かけて行くのだが、まだ風の冷たいこの季節は、どうしようかな・・・とグズグズして着いたのは、3時前頃。
梅が咲いているので、やや混んでいる。
コロナの影響もあるのか、入園料も高くなったけれど、人が増えている気がする。
これから次々と花の咲く季節だから、もっと人が増えて行くだろう。場合によっては、入場制限をするそうだ。
可憐なスプリングエフェメラル(Spring ephemeral)春植物。春のはかないもの。春の短い命。
こうした小さな花たちが植物園の林の下や道の際にも咲いている。それを見つけながら、ゆっくりと道を行く時、春の訪れがだんだんと確実なものになっていく喜びが満ちてくる。
けれど、時々、植物園に公園のようなつもりでくる人もいて、ノルディックウォーキングのストックで、勢いよく土を突き刺しながら歩いていたりするのを見ると、植物が傷みそうで辛い。
この日は、いつも春の兆しを感じさせてくれる植物の一つ、蕗の薹が出ているかな、もう遅すぎかな、と思いつつ池沿いを歩いて行ったら、手の届くあたりのものは全て、むしり採られた跡があって、悲しくなった。
採集は禁止だが、秋には銀杏を山ほど袋に詰めている人もいたし・・・
木に子供たちがよじ登っているのも、確かに木登りできる環境など滅多になく、子供たちもかわいそうなのだけれど、古い木などは特に傷みそうでハラハラする。
昨年は、コロナのために長期間閉園になっていた。しょっちゅう、植物園のホームページを開いては、開園はまだかと確かめていたのだが、一方で、人が入って、下草が擦り切れたり、木の根元を踏み固められたりすることもなく、草木がのびのびと季節を謳歌している様子を思い浮かべて、草木にとっては、良いことだなとも思っていた。
誰にも知られず、満開になり、散って行く花・・・なんだか贅沢で素敵。
梅林に着いて、一つ、一つ、名札を見ながら花を見ていく。
風雅な名前が付いている。どんな人々が名付けたのだろう。
未開紅、雪灯篭、春日野、都錦、長寿、月宮殿、道知辺、蘇芳梅、月影枝垂、白加賀、
楊貴妃、白鷹、八重海堂、司枝垂、唐梅、冬の谷、玉英、藤牡丹枝垂、思いのまま、
古今集、八房、翁、開運、鶯隠、鹿児島紅、古金蘭、五節舞、故郷の錦、豊後・・・
一際、キリッと咲いていた「冬の谷」
ピンクの花は名前が縁起のいい「開運」
風雅な名前の中で、この名前は少々かわいそうかも「大輪緑萼」
花姿は、清々しい。右端にちょっと見えているのは鶯隠(命名者、お見事!)
「桜もいいけど、梅もいいね〜」と言いながら歩いて行く人も。
皆、今年は春が特に待ち遠しかったはず。
ほころぶ花のもと、みんなの顔もほころんでいた。